非破壊検査とは、物を壊さずに、その物の状態を調べる検査全般のことです。内部や表面のきず、密度、劣化の状況など、様々なことを対象物を傷つけることなく知ることができ、様々なものや場面で使われています。非破壊検査が使われる代表的なものは、例えば、原子力発電所・プラント・鉄道・航空機・橋梁・ビルなどの大きく、かつ使用中のものや、あるいは地中埋設物など手の届かないところにあるものなどです。製品として出荷する前の素材の品質検査や、使用中の機械の保守検査の一環としてなど、幅広い活用場面があります。
身近なところでは、果物の糖度をはかる光センサーなども非破壊検査の一種です。非破壊検査には、調べたい項目に応じて様々な検査手段があります。橋梁や鉄道の線路に用いられるイメージの強い目視試験や、放射線や音波で劣化状況を検査する方法、そのほかにも渦電流探傷試験、ひずみ測定、アコースティック・エミッションなど、様々な方法があります。なお、設備や機材があれば誰でも信ぴょう性のある非破壊検査ができるわけではありません。
日本ではJISZ2305「非破壊試験-技術者の資格および認証」により、放射線透過試験、超音波探傷試験など計6分野で、レベル1からレベル3までの三段階の資格認定が定められています。他に日本非破壊試験協会が実施している資格認定があり、信ぴょう性の高い検査結果を得るためには、これらの資格を持った十分な技能を持った人によって検査を行う必要があります。