発電所からビル、鉄道、橋、地中埋蔵物まで、あらゆる物を壊すことなくその内部の傷や欠陥、劣化の状況を調べる検査が非破壊検査です。非破壊検査では主に超音波や赤外線が利用されますが、中には放射線を使う方法もあります。これが放射線透過検査というものです。対象物内部に異物や欠陥等が存在する領域では、X線の減弱割合は異なったものになります。

放射線透過検査はこうした性質を応用した非破壊検査です。まずは健康診断等のレントゲンによく利用されるX線等の放射線を対象物に照射します。すると放射線は透過しながら対象物との相互作用により次第に弱くなっていきます。それにより対象物の欠陥がフィルム上に黒い像として検出される、という仕組みです。

ちなみに溶接部の場合、溶接金属内で発生したガス等が凝固して溶接金属内で閉じ込められることでできる「ブロー・ホール」等のような欠陥は健全部と比べて比較的容易に放射線が透過します。放射線透過検査を行うメリットとしては、まず金属・非金属の両方に適用できることが挙げられます。また体積を持つ欠陥の検出効率が高く、放射線の進行方向に奥行きのある内部欠陥の検出も簡単です。記憶蛍光体を利用すれば画像処理により画質の向上が図れますし、微小焦点のX線管を使えば拡大撮影も可能になります。

ただ傷の深さや位置、高さが困難です。その場合、超音波探傷器を併用する必要があります。また放射線を利用しますから、当然その保管には厳重に注意しなければなりません。

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